細胞老化の特徴を持つハッサル小体、胸腺における好中球とpDC活性化によるIFNα産生を維持する
ハッサル体（HC）は、Aireの制御下で発生した角化した末端分化胸腺髄質上皮細胞（mTECs）から構成されている。
ここでは、HC-mTECが細胞老化の特徴を示し、CXCL5を含む炎症性サイトカインやケモカインを産生することで、胸腺髄質においてIL-23を産生する好中球を誘導・活性化することを明らかにした。
さらに、IL-23受容体を発現する胸腺形質細胞樹状細胞（pDC）が、Il23a依存的に、単一陽性（SP）細胞の成熟に関与するIfnaを構成的に産生することを示した。
抗Ly6G抗体注射による好中球の枯渇は、胸腺pDCにおけるIfnaの発現を著しく低下させた。
このことは、定常状態における胸腺pDCのIfna発現の背景に、胸腺好中球の活性化が存在することを示唆している。
HC過形成を示すNew Zealand Whiteマウス系統は、B6マウスよりも胸腺好中球とpDCの数と活性化が多かった。
一方、HCの発達とSP胸腺細胞の成熟が欠損したAire欠損B6マウスは、これらの細胞の数と活性化が著しく損なわれていた。
これらの結果は、細胞老化の特徴を持つHC-mTECが、胸腺髄質のSP T細胞の成熟に必要な構成的IFNα発現につながる好中球とpDCを含むユニークな細胞活性化カスケードを開始することを総合的に示唆するものであった。
