自己免疫の自己組織化臨界理論
背景
原因不明である自己免疫の原因を、免疫「系」の異常という別の角度から調査し、その原因を解明する。
方法論/主な知見
抗原の反復免疫により、そうでなければ自然発症の自己免疫疾患になりにくいマウスに、全身性の自己免疫疾患を引き起こす。CD4+T細胞の過剰刺激は、T細胞受容体(TCR)の修正を受け、自己抗体を誘導する能力を持つCD4+T(aiCD4+ T)細胞の発生を引き起こした。
aiCD4+ T細胞は、交差反応ではなくde novo TCR再構成によって誘導され、その後CD8+ T細胞を過剰に刺激し、抗原特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)へと誘導することができた。これらのCTLは抗原交差提示によってさらに成熟し、全身性エリテマトーデス(SLE)のような自己免疫組織傷害を引き起こす。
結論・意義
全身性自己免疫症は、抗原による反復免疫によって宿主の免疫「システム」を、システムの自己組織化臨界を超えるレベルまで過剰に刺激した必然的な結果であるように思われる。